アレキサンドリア図書館

アレキサンドリア図書館の時代

「知識」を保有する。取集する。その欲望は人として当然のことと考えます。現代に当てはめて「お金」のことを考えると、古代から変わらず「価値あるもの」、「絶対価値」と認め得ることは、「労働(身体)」、「希少物」、「知識」の3つしか思い浮かびません。
たとえば、私が権力を持ってして、欲しいままに求めるとしたら、この3つと言うことす。

紀元前300年、マケドニア王国の支配都市である、プトレマイオス王朝首都「アレキサンドリア」に近代的図書館がありました。
プトレマイオス一世は、「人類の知識のすべてを集めよ。」と詔(みことのり)を出しました。
近代的図書館とは、「紙」の知識を言います。この図書館は、「すべての知識」の命(めい)を受けているので、「文字」や「イラスト」で表記できない事柄も集めています。現代でいうアーカイブスのすべてを対象としたので、近辺を旅する者を身体検査し、アーカイブにないことがらが見つかれば没収しました。旅人は待つことができれば、「複写(転記)」が終了すれば返納されたのです。そのための宿泊、食事の一切をプトレマイオス王朝が負担しました。

また、一国の経済では達成できない目標であったため、ローマ帝国も援助したのです。この図書館に併設されていたのは、現代日本で言う国立の「最先端技術大学院大学」、「大学研究所」、「博物館」、「人工環境植物園」がありました。
さらに、知識の所有権をエジプト王国に委ねる契約がなされれば、誰でもその大学で自由テーマで研究が許されました。
ただし、その研究成果、図書館所蔵知識は門外不出でした。のちに、貸出が可能となりましたが、費用が莫大な額で、およそ、一人の健康な男子の賃金数千日分の15倍が貸出料だったと記録が残っています。

印刷機当時は「印刷」はありませんでしたから、著作行為を労働と考えると、「研究、執筆」の頭脳労働と、「複写、転写」のデスク肉体ワークによるものです。紙は「ペーパー」の語源である「パピルス」と言うカヤツリグサの一種から作られました。
日本でも「紙」は江戸時代頃までは貴重な物資でしたが、パピルス紙はもっと貴重でアレキサンドリア図書館でさえ入手に苦労しました。紙を定型長方形に切断し、羊皮紙で表紙、背表紙が作られましたが、これは現代でも様式が残されています。
しかし、記録紙のほとんどは「巻物」でした。この巻物の一番外側のことを「プロウタコール」と呼ばれていました。国家迎賓はここに日付、署名を行いました。

アレキサンドリア図書館の時代の巻物の外側、「プロウタコール」は、現代の国際儀礼様式や、通信イニシャルコンタクト様式使われている「プロトコル」の語源です。
また、紙を接着する糊も製造されていました。日本の「でんぷん糊」ではなく、樹液から作る「アラビアゴム(ガム)」が糊の原料で、現在の多目的接着剤とほぼ同じものです。

現代の本の形はこの頃に完成していましたが、活字の発明は、この地方では起こりませんでした。
活字の発明は1000年以上時代が下って、中国で自然発生的に生まれました。西暦900年頃の「木製」の活字が見つかっています。金属で作られるようになったのは、朝鮮半島で、1300年頃です。

しかし、この活字は漢字圏では普及しませんでした。表意文字には不適当だったのです。活字の数が膨大な量となる上に、これを組み合わせて文章を作ることは現実的ではなかったのです。
ですから、この頃の活字は「経典」、「法律用語」に必要な文字だけだったと考えられています。この活字の製法を踏襲したものが、ヨーロッパの活字です。「表音文字」圏には最適でした。
これを使用して連続的に大量印刷を可能にした発明家はドイツの「ヨハネス・グーデンベルグ」です。
グーデンベルグ印刷機は1439年と言われていますが、はっきりしていません。ルネッサンス3大発明の一つ「活字印刷」は、グーデンベルグ印刷機を指しています。
ちなみに、後の二つは「火薬」と「コンパス(磁石方位指示器)」ですが、中国4千年の歴史では、中国3大発明が「活字」、「榴弾砲」、「羅針盤」です。

活字の発明により、「出版」が「読書」の大衆化をもたらしました。多分、ここで人類の加速度的文明発展が始まったのではないでしょうか。メディアが印刷物となったことは、インターネットが従量制から繋ぎっ放しにシフトした現代に近い出来事です。

文明、知識は連綿として続きます。これは、「記録」が可能となったことが大原動力であったに違いありません。しかし、アレキサンドリア図書館は消失しました。文明、知識の消失はローマ帝国等、ヨーロッパでの大事件で、当時の人々は深く嘆いたそうです。

近代日本では、関東大震災の所感として、芥川龍之介が「大正十二年九月一日の大震に際して」を残しています。巻末に国立大学図書館所蔵の書物消失を深く嘆き、また、「知識」所有管理者の管理責任を厳しく責めています。

日本の国立国会図書館は世界最大規模の蔵書でアクセスのランク分け(カテゴリ)がありますが、私たちも無料で閲覧可能です。

 

参考「国立国会図書館デジタルコレクション http://dl.ndl.go.jp/

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